普段着きもの暮らしの達人、国民的有名人、長谷川町子さんの漫画「サザエさん」の磯野波平!

会社へはスーツで出勤、家に帰ればきもので寛ぐ。

休日はきもので盆栽弄りや囲碁や俳句に没頭、ゴルフやハイキングへは英国紳士宜しく洋服で、また家に帰ればきものに着替え…

なかなかにこだわりの、波平流きもの暮らし。
きものと洋服の利点を生かし、巧みに使い分けていますね。

生まれた時からきもの暮らし、きものを着慣れた明治生まれならではの、肩肘張らない気軽なきもの暮らしですね。

ここは一つ、普段着きものの極意を、達人磯野波平のきもの暮らしから学んでしまいましょう!

なんだ!漫画じゃないか!

と侮る事無かれ。
磯野波平は戦後〜高度経済成長時代の、典型的な日本の頑固親父像として、なかなか現実的な描かれ方をしています。

また、長谷川町子さんの漫画は、実に細かい描写がされていて、当時の人々の暮らしの知恵がしっかり描かれていたりします。
有名なところで、意地悪婆さんの襟に巻いた手拭い等、芸の細かい描写は秀逸ですね。

では、磯野波平流普段着きもの暮らしの極意其の壱!

きものの下はラクダの上下で襦袢無し。
帯は伊達締か兵児帯、羽織は共紐。
素足に下駄履き。

これが波平の基本形。
兎に角、気軽で楽な格好ですね。日曜大工の時等は尻端折り。気取らず飾らず、本当に普段着のきものですね。

この緩〜い姿で家族と共に晩酌夕飯。
ホッとする一時ですね。

では、磯野波平流普段着きもの暮らしの極意其の弐!

ちょっとした散歩や買い物程度は、基本形のまま。
家族を連れての外出も、帯が兵児帯に変わってるように見える程度。
そうです。きもので外出と云っても、基本形のままなのです。

これですよ。この気軽さですよ。
着流しでの外出も多く、足袋は寒ければ履く暑ければ履かない、履き物は殆ど下駄履き。
襦袢も寒ければ着る、といった具合。
羽織も殆ど共紐の茶羽織。
因みに銭湯へ行く時には、黒い掛け衿の丹前です。

いやあ、昨今きもので外出なんて云うと、やたら肩に力入ったようなきもの姿の人が多いですが、波平のきもの姿は本当に肩肘張らない自然な姿で、ホッとしますね。

波平以外の往来を行く人々のきもの姿も、年配の方は波平と似た姿が多いです。
兵児帯の結び目が、微妙に長く垂れ下がっている ように見えます。当時の流行りなんでしょうか?
裕福そうな恰幅の良い旦那は、房付きの羽織紐だったり、大学生は袴を着けた書生姿だったり、当時の風潮が細かく描かれていたりしますよ。

では、磯野波平流普段着きもの暮らしの極意其の参!

決める時は決める!
黒五つ紋付羽織!

これですよ。抑える所はシッカリ抑えてますよ。
お正月や趣味の俳句等、改まった席では、紋付羽織で決めてます。

と云っても、所謂黒紋付袴一式、では無く、何時もとちょっと違うきもの(説明が難しいのですが、何時もの縞や絣では無い、しかし黒無地では無い。)に黒紋付羽織を羽織って袴無しです。
この格好の時は、襦袢も着てますし、羽織紐も房付きです。

流石に明治生まれの頑固親父ですね。
家族と流行りの映画へ、なんて時にも、何時もの基本形のまま気楽に出掛けるのに、お正月なんて、家にデンと構えて、親族と挨拶しカルタに興じて、祝い酒を呑むだけなのに、キッチリ黒紋付ですよ。
人前で洒落る事よりも、礼節を重んじるきもの選び。

こうしたうるさ型の頑固親父が居ればこそ、子供たちも道徳心が育まれるのですよ。
日本の頑固親父の安心感、安定感、こんな頑固親父が居れば日本の未来も安泰だ!いやあホッとしますよね!

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