御礼になるかどうか、なお話を……。
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『霙(みぞれ)』


どんよりと鈍色に染まる空、パラパラと激しく降り続いていた雨はいつからか静かになっていた。
それに気付いたのか、机の上に小山になる程度に積まれた書類を取ろうと伸ばした手が止まり、机に落ちていた視線が傍らの窓に向けられた。

「雪?」

「…霙(みぞれ)、ですね」

執務室の扉が音も無く滑って、開いた先には三席の姿。
肩と頭が濡れているのは、外に行っていたからだろうか。

「道理で寒いと思った…。席官執務室の薪は足りてる?」

ふぅ、と軽くため息と共に口にした問いに、三席は軽く眉間に皺を寄せた。
ことん、と首をかしげる上官に三席は半ば脱力気味だ。

「副隊長? 護廷の、一隊の隊主執務の暖炉の火はおろか薪すらない状態を先に心配して下さい。隊士たちの職務怠慢になりますよ?」

「え? 無いの? あぁ、本当だ…」

くるりと室内を見回して、ようやく気付いたらしいセリフ。

「副隊長…」

「……は、ぃ…」

普段は温和な三席だが、健康管理に対しては厳しい。
自隊の隊主がいた頃は、隊主と、もしくはイヅルの友人達と一緒に、あれダメこれもダメと、お小言を貰っていたほど。

「食事も睡眠も、室温の管理だって自己管理のうちです。今、副隊長に何かあったら、三番隊は……」

「っ、はい! わかってます! いや、あの…わ、わかりました」

くどくどと説教が始まった三席を遮り、ごめんなさい、と頭を下げてみた。

「…わかっていただけたら、構いませんが…」

いぶかしむような視線。
深くため息を吐いた三席は、暖炉の用意をしますので、と言って部屋を出ていった。

「……霙じゃなく、早く雪にならないかな…」

『イヅル! 見て見て! 雪や雪! 積もったら、何しよか!?』

記憶の隅にある、昔のくすぐったい思い出。
寒い!
死ぬ!
夏が待ち遠しい!
などと言いながらも、雪が降ったら外に飛び出していく背中を何度見ただろう。

「虚圏に、雪は降りますか? 隊長?」

ぽつん、と漏らしたつぶやきは、決して答えの返らないものだけど。
きっと、貴方ならば聞いているはず…。

「寒くて、僕が死にそうです。………暖めて、下さいません…か?」

見上げた空の鈍色が、わずかに裂けたような錯覚を望む自分を笑ったイヅルの耳に、薪をお持ちしました、という三席の声が聞こえた。



『雪んなったら、寒くてボク死んでまう! な、イヅル。今夜、ボクん事暖めて?』


耳に吹き込まれる、甘い誘い。
その身体に熱く蕩けさせられていたのは、果たしてどちらだったのか――。



《了》





地元は雪です(泣)
都内も雪です(泣)
寒い!


なので、ギンイヅは、甘ぁ〜くらぶいちゃしてれば良いよvv


霙、あんまり関係ない内容ですが(笑)






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