キヨメグ小説@《満》

□淋しい夜には…
1ページ/1ページ

暑い夏が終わり少し涼しくなったある夜。恵は一人物思いにふけていた。

BGMは秋の風物詩コオロギの合唱、そして心地よい風の音。

ベッドではティオが爆睡している。今日もガッシュ君と遊んだのかな?

「いいなぁ。ティオは毎日ガッシュ君と会えて…。私なんか…。」

私なんか…………この先の言葉は知ってる。だって毎晩言ってるもの。


「ハァ…。」

つきたくないため息をついてしまった。

今日も清磨くんに会えなかった。もう1ヶ月も会ってない。

「清磨くん携帯持ってないし。携帯持ってれば毎日電話出来るのに………。」

もう寝ようかな…。
そう思ってた矢先パソコンに一通メールが届いた。 もう日付も変わって日曜の午前1時だ。

どうせダイレクトメールかイタズラだろうと思いつつ開くと宛先には


ーーー高嶺清磨ーーー


「清磨くん?」


こんな時間にどうしんだろう。そう思いつつ本文を開く

カチッ


ーー恵さん久し振り。ゴメンね、忙しくてなかなか会えなくて。 もしかして愛想つかれたかな? もし良かったら携帯の番号教えて欲しい。 そしたら毎日電話越しに会えるからね。 俺の番号は……………だから。じゃ。ーーーーーーーー


「えっ………」

携帯買ったの? それは恵にとって嬉しいことなのだが、何故今までそのことを言わなかったのか疑問を抱いた。



取り敢えず今はメールに書いてある番号を押して清磨くんと話がしたい。



ピッ ピッ ピッピッ



トゥルルルゥゥ



「もしもし…」


「あ、あの清磨くん?」

「恵さん!メール見てくれたんだ!」

「うん。清磨くん携帯買ったんだ。」

「うん。一昨日ね。」

「そ、そうなんだ。」
なんで一昨日買ってすぐに教えてくれなかったの? たった一文の言葉が言えない歯痒さに恵は一株の淋しさを覚えた。


「恵さん、明日からどこかに行かない?恵さん明日から休みでしょ?」

「うん。」

「それとさ、すぐに連絡取れなかったのはパソコンの調子悪くて。電話してもいつも留守だったから…。ごめんね。」

なんだ。そうだったんだ。 私に愛想つかしたんじゃないんだ。 そう思うと自然と涙が出てきた。 当然清磨は電話越しから聞こえる啜り泣く声に慌てていた。


「め、恵さん!どうしたの?俺なんかした?………あっ!もしかして連絡しなかったの怒ってるの?」


違うよ。清磨くん。私のただの被害妄想だったみたい。 清磨くんの声聞けて安心した。 もしかしたら私淋しかったのかな?

「清磨くん。」

「えっ!?あっ!はい。」

クスッ。清磨くん慌ててる。


「何処に連れてってくれるの?」

「あっ!それなんだけど海行かない?9月だけどまだ暑いしさ。」

「そうね。じゃあ泊まり込みで行く?」

「泊まり込み………って、ええっ!恵さん!」

慌ててる慌ててる。

「冗談よ。」

本気だったんだけどね。

「ねぇ清磨くん。海もいいけどもっと遠くに行かない?」

そして私を永遠に見てて欲しい。 永遠に。


それから淋しい時は毎日清磨くんと電話越しに語り合った。そして清磨くんはいつも慰めてくれる。親身になって聞いてくれる。

今じゃ清磨くんは私の心の支えになってくれている。



終わり

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ