キヨメグ小説B

□これからもずっと…
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こんなことでは駄目だ。清麿くんと今後も関係を築くには、私が元気じゃないと意味がないのに……。

「…………よし。やってみようかな。」

私は、考え抜いた結果、ある答えを導いた。

それは、失敗すれば一生清麿くんと会えなくなるかもしれない。

けど、今の私にはそれしかないのだ。


私は、料理にラップをかけると薄手の上着を羽織り目的地へと向かった。

そう、清麿くんの自宅へと……。







――――――――――――――――――――


しかし、いざ着くと足が動かない。
まるで両脚に鉛が入っているかのように動こうとしない。


怖いの?

清麿くんは昨日の今日で虚脱感に包まれている。
そんな状態の彼に私の想いを伝えるのが怖いのかな。


「……ううん、だめ。ここで一歩踏み出さないと私はきっと後悔するはず。」

だったら進むしかない。

私はそう鼓舞するとインターホンへと指を伸ばした。

「あれ?恵さん?」

「はえ?え、き、清麿くん!?」
インターホンへと向かっていた人差し指は空を切り、恵は背後から聞こえた声の方へと視線を向けた。

「ど、どうして……てっきりもう帰ってるものだと……。」

「少し買い物にな。恵さん?何か用?」

「それは……。」

まただ。なんでそんな瞳をするの?
その瞳には私が映ってないの?

清麿の気持ちは解る。しかし恵は未だ吹っ切れない想い人に対して怒りがこみ上げ始めた。

「清麿くん……いつまでそんな状態でいるつもり?」

「…………」

「ガッシュくんは王様になったのよ?王様のパートナーがそんな状態だったらガッシュくんも悲しむよ。」

お願い…。いつもの優しい貴方に戻ってよ…。

「……恵さん。」

「なに?」

若干の怒気を込めて恵は返答する。

「……ガッシュは自分の志しを貫いて王になったんだよな。」
「そうよ。」

「そうか……」

寸分考えたのち清麿はゆっくりと上空を仰ぐ。

綺麗な夕焼け空。雲一つ無い茜空が清麿の澱んだ心を浄化していくようだ。

「そうだな。俺、弟のようなガッシュが居なくなって寂しかったんだ。家族が一人居なくなって立ち上がれなかったんだ。」

「清麿くん……。」

「でも、このままじゃダメなんだな。ガッシュも魔界で頑張ってるのに俺がこんなんじゃ、アイツも落ち込むよな。」
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