キリ番小説(全統一)
□氷上のカップル
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はたから見れば、遠まわしの告白に見えなくもないが、違う。
現に恵さんを見てみると、いつもの笑顔に戻っており両手は手すりから離れている。
そして…
シャー シャー シャー
「うん!清麿くんとだったらどこへでも一緒に行く!」
恵さんは軽快な滑りで俺のもとまで来るとプロスケーター顔負けのブレーキングで止まった。
はは…さすが恵さん…。
それからはスケートリンクを一周してみたりフィギュアスケーターの真似をしてみたりと、気づけば夕方になっていた。
「そろそろ、帰るか。」
俺が時計を見ながら呟くと恵さんは残念そうに嘆いた。
「そっか〜。もうこんな時間なんだ…。」
「大丈夫だよ。明後日からは冬休みだし、また来よう。」
「うん♪今度はガッシュくんにティオも連れて行きたいね!」
「……ああ。」
半年も前にお別れした小さな勇者たち。
今はどうしてるんだろうな…。
俺がこうして恵さんと恋人同士としていられるのもあいつらのお陰だもんな。
いつか、人間界と魔界を繋げる架け橋を作ってあいつらも一緒にスケートに行きたいな…。
「…清麿くん?」
「……え!?な、なんだ?」
「…なにか考えごと?」
どうやらもの思いにふけていたらしい。
「いや、なんでもないよ!帰ろう!」
「うん♪ねぇねぇ、明日なんだけど…………」
いまは考えるのはやめよう。
きっといつか答えはでるから。
いまはこの何気ない幸せを噛みしめよう。
ドーム型のスケート場に夕陽が差し込み幻想的な雰囲気を醸し出している並木道を2人並んで歩きながら今日の幸せを噛みしめた………。
2人の恋路はいま、滑り出したばかり……。
お わ り