キヨメグ小説B
□これからもずっと…
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「じゃあ、俺はこれで。」
「あ、うん…元気でね。」
春、清麿くんの中学卒業と同時に始まったシェリーさんブラゴとの最終決戦。
結果は見事ガッシュくんが勝利を収め、千年に一度の戦いの幕が下りたのだった。
そして、私は学校の帰り道で1人歩いている清麿くんに出くわした。
泣きはらした跡のある眼に爽やかな何か清々しい表情の清麿くんに「ああ…終わったんだね」と私は心の中で1人感じていた。
一言二言交わし帰ろうとする清麿くんに私は元気でねとしか言えないでいる。
良いのだろうか。
このまま彼を行かせてしまえば二度と会えないかも知れないのよ?
数週間後には高校生活が始まって私のことなんか忘れてしまうかもしれないのよ?
「…き、清麿くん!」
「うん?」
「これからも暇な時間が出来たら、その……清麿くんに会っていいかな?」
「……ああ、もちろんだよ。」
告白とも取られかねないセリフにも動じない清麿くん。
さすが鈍感と言われるだのことはあるわね…。
でも…これで清麿くんとの関係は辛うじて繋がった。
これからゆっくりと盤石なものへとしていかないと…!
「じゃあ、またね♪」
「ああ。」
今はこれでいい。清麿くんはついさっきまでいたガッシュくんの居ない現実に打ちのめされているはずだから。
私まで暗い気持ちで接していたらダメ!
だから…今は…………………
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自宅に着くと私は寝室へと向かった。
部屋の中はあの時のままティオのお布団にティオ専用の子供用洋服タンスが置かれている。
脱いだブレザーをハンガーにかけると身体を預けるようにベッドへと転がった。
「………ティオ」
朝はいつも私が起こしていた。
朝食はティオが手伝いたいと申し出て以来毎日一緒に作っていた。
仕事に向かうときは遠出以外は必ず着いてきた。
清麿くんのお家に行ったティオは必ず夕食のときになると清麿くんの話をしていた。
本当の妹のようなあの子は今魔界に帰ってしまった。
あの子は元気にしてるのかな。
あまりガッシュくんをいじめちゃだめだよ。
「…………私、こんなに弱かったんだ。」
気づけば、私は用意した食事に手をつけることなく溜め息ばかりついている。