キヨメグ小説B

□清麿とティオ。
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それは、何気ない秋の夜長のひとときのことだった。


「ガッシュが?」

その日、恵さんがどうしてもティオを連れて行くことが出来ないということで1日ティオを我が家で預かることとなった。

そんな日付が変わろうかという時間帯に起きてきたティオが清麿に話しかけてきたのだ。


「うん…私のことが恐いって。どうしよう……。」

「どうしようたってなあ…」

ガッシュの言う“恐い”はティオの首締めが大半を占めているはずだ。

だから普段のティオで居れば大丈夫だとは思うが……

「気になるのか?」

視線をティオに向けると、チラチラとガッシュを見やりながら不安そうな表情をしている。

「ふぇ…!な、なにがっ?!」

「ガッシュに恐いって言われて。」

「そ、それは、まあ……。」


ふむ。俺はこういうのに疎いらしいからなあ。
多分、ティオはガッシュに恋しているのだろうが………


「ガッシュは……私のこと…きらい…なのかな。」

「それはないだろう。ガッシュは誰かを嫌いになるなんてしないからな。」

ガッシュはティオの首締めに限って怯えているのだからそこまで心配しなくていいのだがな。

「でも…」

「ガッシュは毎日ティオの話をしてるぞ?」

この前も「ティオと遊ぶのは楽しいのだ!」とご飯粒をほっぺに付けながら嬉しそうに話してたしな。

「だから、心配することはない。ガッシュはティオのことが好きだよ。」

今は友達として、だけどな。

「清麿……。うん!私頑張る!」

「ああ、頑張れ。」


ふう…ようなく納得してくれたようだ。

恵さんも大変だな。


「なんか、清麿ってお兄ちゃんみたいね。」

「え?」

「それは、まあ、年上だからな。」

「違うわよ!いつも真剣に話を聞いてくれて、戦いでも守ってくれるし…頼りになるお兄ちゃんって感じよ。」

「そ、そうか……。」

う、ティオにそんなこと言われるなんて思ってもなかったから恥ずかしいな。


「ふふ、お兄ちゃん♪」

「ぐはっ!」

な、なんだ!?この突き刺さるような響きは!?

だ、ダメだ!俺には心に決めた人がいるんだ!

「お兄ちゃん!一緒に寝ようよ!」

「かはっ!」

チーーン

ダメだ……。


もう……負けた………。


「おにい………って!清麿!?ねえ!大丈夫?」

この日、清麿は夢を見た。

どこか知らぬ浜辺。そこに佇む麦わら帽子を被った恵さんが俺を見つめながら満面の笑顔で「お兄ちゃん」と囁く夢を。



「はぁ…。こんなんじゃ恵も大変ね。でも…これは使えるわね。」


後日、ティオは清麿を呼ぶ際には、からかい半分で「お兄ちゃん♪」と言ったそうな。





お わ り

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