夏夜月様の部屋

□逢魔ヶ刻のガッシュ!4話 「逢魔ヶ刻にいらっしゃい 」C
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逢魔ヶ刻動物園に強盗が入った。清麿たちは自分たちだけで対処しようとしたところ、椎名が乱入したことで事なきを得たのであった。


いくらか遅れて動物たちが追いついた。

「園長!あの子たちぶっ飛ばしてないでしょうね!?」

「凹みが足りんね」

「って違う人ブッ倒しとる!!」

椎名はなぶるかのように踏みまくっていた。

「うわああぁっ!!みなさんありがとう!ありがとう!!」

イガラシはよっぽど怖かったのだろう、泣きじゃくりながら恵に抱きついた。

「ううん、イガラシさんにケガがなくて良かったわ…ね?清麿くん♪」

恵はいたずらっぽい笑みを浮かべ、清麿に向けてウインクした。

「あ…ああ…そりゃそうだろ…?」

「清麿〜?イガラシさんにヤキモチやいても相手はしょせんアザラシよ〜?」

「や、やかましい!!」

ティオのからかいに簡単にムキになる清麿。


「ガッシュ・ベル」

((((!?))))

振り向くとそこには、逆光のせいで顔はよく見えないが、椎名らしき、銀髪の若い男が立っていた…。

が、グイッと近づけてきたその顔はさっきと同じウサギヅラの椎名に戻っていた。

「!?あ…あれ?」
見間違いか?確かにさっき椎名園長の顔が……。

などと考え始めた直後。

「ホッ」

園長がガッシュの顔にビンタを始めた。

スパパパパ……

「ちょっ、あの…園長!?」
恵は戸惑いを隠せない。

「な、ガッシュに何すんのよ!?」

「『報い』」

椎名はティオの方を見ることなく、質問に答えた。
見ると、顔が少し恐い。

……つかまだ気にしてたんかい……。
スパパパパ…

「ズ…ズバヌプ…。ヒャっ…喋れバリドク」
す…スマヌ…。しゃっ…喋れないのだ…。

清麿はガッシュの言いたい言葉を読み取った。

「おまえ…獣共と友達になりたいだの…自分はクズだのゴミだの、チビだの消えたいだのほざいてたが」

いやいやいやいやそこまで言ってねーから!
清麿が椎名にツッコミをいれようとしたところで

「おまえの『優しい』力は評価に値する」
ビンタの手を止めた椎名は、ガッシュに優しく笑いかけた…ように清麿たちには見えた。
イガラシもウンウンと頷いている。

「おまえらがこれまでに溜め込んだ知識と『好き』って気持ちは、ウチが天下一人気になるのに必要じゃ。わかったら黙って働け」

暖かい…

とても暖かい言葉だった……。
ガッシュもティオも、なんだか嬉しいのか恥ずかしいのか分からず、ただ泣きそうなのをこらえていた。

清麿と恵も、ただ椎名や動物たちの顔を見つめるしか出来なかった。

「そうだな!あんたらが飼育員になってくれれば俺たちも助かるよ!」
動物たちのなかの誰かがそう言った。すかさず、ポポが付け足した。
「園長はメシくれないしなっプッ!!」

が、これまたすかさず椎名が寝転がる勢いでポポを蹴飛ばした。

「い…いいの?」
恐る恐るティオは尋ねてみた。

「ああ。それに、園長がここまで言うなんてそうそうねえよ?」
狼が答え、ヘビのお姉さんもウンウンと頷いている。
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