キリ番小説(全統一)
□月夜とココアと私たち。
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ガッシュと清麿、ウマゴンと新たなパートナーであるサンビームはデボロ遺跡から脱出し、仲間のいる避難場所へと向かった。
この話はその夜の小さな1ページ。
「ふぅ…」
明日から本当の意味での戦い。
千年前の魔物、心を操られた人たち。そしてゾフィス。
清麿は夜空を見上げながら明日の戦いに備えて静かに気合いを入れた。
「あれ?清麿くん。」
「め、恵さん!」
ここはバルコニー。それゆえに誰が来てもおかしくはないのだが、時刻は午前の二時。清麿はそんな時間の来客に驚いた。
「眠れないの?」
「ああ…明日のこと考えるとどうしてもな。」
アポロからホットココアをもらった清麿はそれを恵に差し出す。
「夜は冷えるから。もしよかったら飲んでよ。」
「…うん。貰うね。」
普段なら関節キスという単語が恵の中で駆け巡り赤面するのだが、恵も明日のことで頭でいっぱいで赤面することはなかった。
ほぉ…っと息を吐く。
昼間は制服でもなんともない暖かさだったがいまはパジャマでも肌寒い。
「ありがとうね…」
「え?」
突然のお礼に清麿は恵のほうを向く。
初めてみるパジャマ姿にシャンプーの香りだろうか、良い匂いが清麿の鼻腔をくすぐる。
「ティオを助けてくれて…」
「いや…当然のことをしたまでだよ。みんなが無事で良かった。」
この人はいつもこうだ。
自分のことなんて顧みず、仲間の私たちを優先してくれる。
もしかしてだけど、私はそんな彼に恋心を抱いているのかもしれない。
「それにしてもさ……。」
不意に清麿は恵から顔を逸らした。
「恵さんって優しいよな///」
「えっ。」
「初めて会ったときも遊園地で一緒に戦ったあともデボロ遺跡に向かう前にピンチだったときも俺とガッシュを気遣ってくれて…。」
清麿の顔は月夜からでもわかるくらいに真っ赤。
それに気づいた恵は「ふふっ。」と小さく笑った。
「清麿くん、照れてる。」
「て!照れてない…///」
「なんで私が優しくしてるか、わかる?」
なんだろう。こんな清麿くんをみるとついいじわるしたくなってしまう。
「り、理由があるのか?」