短編小説
□貴方と見上げる五月晴れ
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こんなチャンスめったに無いんだから…ずっと一緒にいたいの。
貴方と
見上げる五月晴れ
「ね、佐伯くん」
中庭でお弁当を広げながら、私は正面の彼に笑顔で呼び掛けた。
「ん?なに?」
いつも忙しい佐伯くんのために、彼のお弁当を私が作ることになったのは、2年生になったこの春から。
料理まで出来る佐伯くんに出すのはちょっと不安だったけど、いつも美味しそうに食べてくれるから、毎朝早起きすることも苦じゃなかった。
「あのね、ゴールデンウィークどこ行く?」
「は?」
モゴモゴと玉子焼きを咀嚼していた彼が、目を丸くした。
なんでそんなに驚くんだろ?
「いや…予定って言うか…。お前、遊ぶつもりだったのか?」
彼の言い方が気になって、私は『ほえっ?』と首を傾げた。