短編小説

□貴方と見上げる五月晴れ
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「おはようござ…」
「遅いっ!!」

お店の扉を開けた瞬間、佐伯くんの声が飛んで来た。

チョップの刑を免れるために、私は慌てて頭を下げる。

「ごめんなさいっ!!すぐに用意するからっ」
「いいよ。そのままでいいから、こっち来て手伝えよ」

彼の言葉に顔を上げた私は、アレと首を傾げる?

いつもならこの時間には完璧にセッティングされた店内なのに、まだ何一つ用意されていない。

それどころかカウンターの向こうにいる彼は、珊瑚礁のユニフォームでは無く私服だった。

「佐伯くん?」
「ほら、いいから」
「う、うん」

何がなんだかサッパリだったけど、佐伯くんが楽しそうに微笑むから。

小さな厨房で彼が作っていたのはサンドイッチ。

厚切りのバゲッドにハム、レタス、チーズにトマトが綺麗挟まれている。

「うわっ。美味しそうっ」
「だろ?あ、サーバーにコーヒー入ってるから、それに入れて」

二つ出されたタンブラーを指差されて、私はだんだん理解して来た。
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