短編小説
□貴方と見上げる五月晴れ
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ゴールデンウィーク最終日。
信じられないことに、佐伯くんは本当にこの連休中、ずっと私をバイトに入れた。
普段ならちょっとでも長く彼と一緒にいたい。
そう思うのに、どこにも遊びに行けないでバイトに精を出す連休に、どうしたって不満を抱いてしまう。
ゴールデンウィーク中はお客さんが途切れることも無くて、毎日くたくたになるまで働いた。
そして、私以上に佐伯くんは頑張っていたから。
きっと、すごく疲れているはず。
遊びに行けないことより、本当はそっちの方が気になっていた。
明日からまた学校の日々。
1日くらい、休んで欲しかった。
浜の白い砂をザクザク言わせながら、私はよく晴れた青空を見上げた。
冬の様に寒いわけでも、夏の様に暑いわけでも無い、心地いい季節。
暖かな陽光がさんさんと降り注いで、涼しい風が柔らかく吹く。
見慣れた青い海が、いつもより一際キレイに見えた。
こんな素敵な日にまでお仕事なんて、佐伯くんはやっぱりバカだよ。
私はため息を吐くと、珊瑚礁に向かう足を早めた。