短編小説
□貴方と見上げる五月晴れ
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そんな私に佐伯くんはちょっと意地悪な顔つきになった。
「バイトの分際で甘い。連休こそ稼ぎ時だろ。しっかり働いてもらうからな」
「え〜っ!!ゴールデンウィーク中ずっとぉっ!?」
ウソぉっ!!
今度は私が目を丸くする番。
そんなまさかって思いたいのに、佐伯くんは不敵な微笑みを浮かべるばっかりで、本気なんだってことが分かった。
「…鬼」
恨めしげにボソッと呟いてみても、彼はお箸を動かす手を止めずに言い返す。
「なんとでも言うがいい」
「…意地悪」
「今さら気付いたのか」
「……バカ」
「何歳だよ、お前」
「…えっち」
「チョップの出番らしいな」
サッと頭をガードすると、佐伯くんがちょっと笑った。
「諦めろ。しっかり働けよな、バイト」