短編小説

□貴方と見上げる五月晴れ
2ページ/10ページ

そんな私に佐伯くんはちょっと意地悪な顔つきになった。

「バイトの分際で甘い。連休こそ稼ぎ時だろ。しっかり働いてもらうからな」
「え〜っ!!ゴールデンウィーク中ずっとぉっ!?」

ウソぉっ!!

今度は私が目を丸くする番。

そんなまさかって思いたいのに、佐伯くんは不敵な微笑みを浮かべるばっかりで、本気なんだってことが分かった。

「…鬼」

恨めしげにボソッと呟いてみても、彼はお箸を動かす手を止めずに言い返す。

「なんとでも言うがいい」
「…意地悪」
「今さら気付いたのか」
「……バカ」
「何歳だよ、お前」
「…えっち」
「チョップの出番らしいな」

サッと頭をガードすると、佐伯くんがちょっと笑った。

「諦めろ。しっかり働けよな、バイト」


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ