OTHER NOVEL
□『星空』
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暗い暗い森の中‥唯一偽物の星空だけは、私達、契約者を照らしてくれた。
まるで、母親のように‥
「本当の星空‥みれるといいね。」
任務中、私は星空を見上げていた黒に言った。
『星空』
10年前突如日本の東京に出現した地獄門(ヘルズゲート)。
それと同時に、私達『契約者』と呼ばれる者達が出現した。
契約者が、死ぬと偽の星空にある星が流れる。
私たちは、数多くの星達を流してきた。
自分達は、流されないように‥
「‥バー、アンバー?」
「ん?あぁごめん。何?」
「考え事していたのか?」
「うん。昔のことをね。そういえば‥今日だよね?本物の星空が観れる日って‥」
東京に伝わる一つの噂‥
今日の12時から翌朝まで、本物の星空が観れるという‥。
「アンバーは信じているのか?」
私は、隣で茹で卵を食べている雨霧とベランダで空を眺めていた。
こんなに、ゆっくり星空を観るのはあの日以来だろうか‥
「うん。星空は全部好きだから。」
彼も、星空が好きだから。
12時になったのだろうか‥噂を信じている人々は、部屋の明かりを一斉に消し、ベランダに出てきて‥曇っている空をじっと眺めている。
星一つ見えないこの暗い暗い空を‥
黒もこの星空を観ているのかな‥。
貴方の笑顔を守る為にも、私たちはこの戦いに勝たなければいけない。
人間と契約者との戦いを‥
「例え偽物でも、星空は好きだから‥」
彼は、任務後、星空から目を離さないまま少し微笑みながら答えた。
彼の笑顔をずっと守りたいと思ってからだった。
彼を愛しいと感じるようになったのは‥。
「うん。貴方の笑顔をずっと守ってくれますように。」
私は、そう祈ってお守りを彼の首にかけた。
今日から明日の朝までの天気は曇り‥
まるで、これからの未来を感じているようだった。
終