捧げもの
□PROTECTS
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誰かが、俺を呼び止めた
誰かが、俺を突き飛ばした
「岳人!!」
「・・!?」
それは一瞬の出来事で、俺は事態を理解するのに数十秒を必要とした。
まず、車のヘッドライトが眩しすぎて、何が起こったのか見えなかったんだ。
でも、その声、そのシルエットで誰が俺の前に飛び出したのかはすぐに解った。
そして今、俺は全てを理解した。
俺は、庇われたんだ。
「・・・・・侑・・・士?」
道路はほとんど血に染まり、血の川は歩道まで届こうとしている。
そして、目の前には俺の、大事な人。
周りの奴らが何か叫んでいるけれど、俺には聞こえない
俺の頭は真っ白だった
「侑士・・・・?なあ、侑士!」
侑士は、人形のように動かない
その口は貼り付けられたようで動く気配など全くない
「侑士!返事しろよ!・・・侑士!」
侑士の体を揺さぶると、更に血が流れ出した