捧げもの
□すれ違い
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〜前編・SIDE 鳳〜
俺のダブルスパートナー、宍戸先輩。
あの人に特別な感情を抱くようになったのは、いつからだっただろうか・・・・
「ゲーム!鳳・宍戸ペア!6−2!ウォンバイ鳳・宍戸!」
いつもの練習試合。
準レギュラーとのダブルスに勝利する。
フェンスの外からは黄色い歓声が耐えない。
「さすが鳳くんと宍戸くん!息ぴったり!!」
なんて声も聞こえてくる。
・・・息ぴったり?
ああ、そうだった、少なくとも昔は。
だけど、今は違うんだ・・・
「宍戸さん、お疲れ様です」
「あ、ああ・・・」
最近宍戸さんの返事の歯切れは悪い。
それに最近目に見えて俺を避けている。
俺にとってそれは都合のいいことでもあり、悲しいことでもあった。
初めはただの先輩だったんだ。
だが、いつからだろう・・・・きっと、宍戸さんに特訓を頼まれたあたりから、俺は宍戸さんが気になって仕方なくなった。
それは俺が宍戸さんを尊敬しているからだ、と言い聞かせていたけれど、日を増すごとに宍戸さんへの思いは募るばかりだった。
そして俺は、できれば認めたくなかった答えを認めることにした。
俺は宍戸さんに『恋』をしているという答えを。
だけど認めたところで別に告白する気もなかった。
宍戸さんはきっと迷惑に思うだろうし、第一今の関係を壊したくなかった。
だけど、きっと認めた時点で終わっていたんだ。
俺と宍戸さんのこの信頼関係は。