バ ト テ ニ

□03
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ああ…なんでこの手はこんなに汚れてんだ。





他人の血で。








03.真っ赤に、真っ黒に染まっていくこの世界









マジで、無我夢中。




ぴったりの表現。










俺の知らないとこでゲームは勝手に始まって、勝手に俺の順番が来てて、俺の脳は勝手にゲームに乗ってた。








誰を殺したんだろ、覚えてねぇや。





もしかして、真田副部長や仁王先輩とかも殺してるかもしれない。








自分の記憶なのに覚えてねーなんて、ほんっと馬鹿だしダセーよ俺。







これって俗に言う、「本能のままに動く」ってやつ?









もういっそそのまま理性なんて俺に返さなきゃいいのに、ふいに俺に理性は帰ってきた。







理性が戻ってきたとき、俺のジャージは血まみれで、俺の手も全部血で汚れていた。




でも、不思議とどこも痛くないのは他人の血だからだろう。







手のひらは”何かを握った跡”が多数。




ディバックの中には知らぬ間に予備の食料と水が一杯。



見たことも使ったこともないようなライフルやマシンガンもその中に納まっていたから驚きだ。




ためしに一つ手にとってみると、”何かを握った跡”とぴったり一致したから怖くて即しまったけど。









湖を見つけた。




湖面は太陽の光を反射してキラキラと輝いている。







綺麗な湖だな…







よし、手洗おう。






誰のとも知れない血をこびりつけておくのは不快だった。




湖の前にしゃがみこむと、綺麗な湖面に俺の顔が映った。




湖面に映った俺の顔。





まるで般若だった。




目は赤く充血して、顔面の血の気はなく、変わりに赤黒い血がこびりついてすげぇ形相。
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