捧げもの
□雨恋。
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先輩は、一呼吸おいた。
ザーーーーーー
「 」
ザーーーーーー
「・・・・・え?」
俺から出た声は、聞き取れなくて出した声ではなかった。
信じられない、その事実を認めたくないという心の気持ちを表すかすれた声。
もちろんそんな声は、雨の音にかき消され、先輩には届かなかったのだろうけれど。
「俺、今日で氷帝をやめるんだ。」
頭の中で、その響きがぐるぐる回る。
やめる?
氷帝を?
どういうことだ?
明日から先輩は―――――
い な く な る ?
そんな、じゃあ、あの時言おうとしていた言葉は。
俺が聞き取れなかった言葉は。