捧げもの

□雨恋。
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「あの日も・・・・雨の日だったよな」



突如先輩がボソッとつぶやいた。





「・・・・・ハイ。」

俺は、今自分が思い出していたことを先輩も思い出していたんだなと思うと何だかくすぐったい気持ちになった。







「あんな・・格好悪ぃトコ見しちまって、悪かったな」



「・・今日はやけに謙虚ですね、先輩。」

「・・んだよ!人がせっかく謝ってんのに、くそくそ日吉め!」





俺はクスリと笑った。



この不思議な空間が、たまらなく愛しかった。

いつまでもこの時間が続けばいいのに・・・・そう思った。







「なあ・・・・日吉。」

「何ですか?」





「あの時、俺が言った言葉、聞きたいか?」

「・・・・・?」

「お前が聞き返した言葉だよ」







「・・・・・・・・・はい」



俺があの雨の日、聞き逃してしまった言葉。

あの言葉は何だったのだろう、気になってあの日は眠れなかった。



あの言葉を知りたい。







「・・そっか。じゃ、教えてやる。一回しか言わない。」





雨は、更に酷くなっていた。
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