捧げもの
□狐の嫁入り
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「・・・んあ?何で。俺、向日に話してんの。」
「悪いけど俺ら氷帝はもう負ける気はあらへん。岳人と俺は、そう約束したんや」
あ 今の
ちょっとズキッときた
んだよ、その言い方。わざと?
俺たちは仲がいいですよーって、見せ付けてるわけ?
わざとじゃねぇなら もっとたちが悪いけど
「おい、忍足!跡部が呼んでるぜーー!!!」
「今行くわ!」
タイミング良く帽子の野郎が忍足を呼んだから忍足は俺から視線を外した。
立ち去る際に、忍足は俺をもう一度睨むと、「遅うならんうちに帰りや」と言って走っていった。
一見柔らかな物腰のその言葉にどれほど刺があったか。
俺はしばらく忍足の方を見ていたが、忍足がこっちを振り返る気配はなかった。
「おいっ丸井!」
突然声をかけられた、声の主はもちろんアイツ。
「・・・・あ?何だよ」
「話はまだ終わってねえだろ!俺、やるよ。」
「?!」
「や る っつってんだよ!・・・・侑士はああ言ったけどさ、決めるのは俺だし」
「・・・・そっか。それじゃあ特訓期間は明日から全国大会2回戦まで。OK?」
「おう!」
その笑顔が紛れもなく俺に向けられたものだと思うと、嬉しくてたまらなかった。