捧げもの

□狐の嫁入り
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「・・・ったく、何分待ったと思ってんだよ!!!・・・・ってアレ、誰?侑士の友達?」

ぴょんぴょん跳ねながら怒っていた向日だったけれど俺の存在に気づくと跳ぶのをやめて不思議そうな顔をした。




「アホ。お前知らんのか、立海のダブルスプレーヤー、丸井ブン太や」

「あ・・・?あーー・・あっ!!そうそう!ジローが言ってたやつのことか!!!!」

「・・・・やっと思い出したんか」

「おう!・・・・で、立海のやつが何の用なんだよ?」



向日はそう言うと少し敵意の混ざった瞳で俺を見た。

大きな瞳が俺を捉える。

俺は平静を装うためにガムを膨らませた。




「お前さ、ボレーやらねえ?」

「・・・は?」

向日は突然の誘いにきょとんとした顔をした。

それもそのはず、ほぼ初対面の相手に突然こんなことを言われたのだ。



俺自身どうしてこんなことを言ったのかわからない。


でも、もしかするとこれは、上手く利用すればコイツと接点ができるかもしれない。




「俺が教えてやるよ。前衛の極意。」

「何でお前がそんなこと言うんだよ」


向日は明らかに不審な表情を浮かべている。

俺のことを凝視して、俺の真意を探ろうとでもしているようだった。



俺はそんな視線は軽くかわしてニヤリと笑って言った。



「お前ら、全国大会2回戦でまた青学と当たるだろぃ?・・・・だったら、キッチリ潰しといた方がいんじゃね?お前にとっても、俺にとっても」

「・・・・・・」



「悪い話じゃねぇと思うんだけど」

「悪いけどお断りや」




突然割り込んできた低音の声。

コイツの存在を忘れていた。

氷帝の天才、忍足侑士。



忍足は先ほどまで浮かべていた柔らかな表情を一転、厳しげな視線を俺に向ける。

おーこわっ



整った顔立ちなだけに睨まれると結構怯む。

だけど、俺は退いたりしない。
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