バ ト テ ニ

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「それでさぁ・・・・だったよなぁ、ジャッカル。」

「なあ・・・ブン太。」



「・・・え?」

ジャッカルから俺に話しかけてくるなんてことは珍しかったから驚いて反応に遅れた。

ジャッカルは一呼吸置くと低い声でこう言った。



「お前・・・・・いつまで俺と行動するつもりだ?」





その言葉の意味を理解するのに数秒かかった。

やっと理解したとき俺は「冗談だろ?」と。

そう、笑って言い返すつもりだった。

でもジャッカルの顔を見た瞬間そんな言葉は引っ込んだ。



そんな顔、試合でも見せねぇくせに。

今までに見たことのないくらい真剣なジャッカルの顔。

こんなマジなジャッカルの顔、初めて見たから俺はかなり怯んだ。

こんな険しい顔ができるなんて、知らなかった。



俺にはジャッカルが決して嘘や冗談でこの言葉を言っているとは思えなかった。





ジャッカルは俺と一緒に行動したくないのか?

迷惑なのか?



そんな疑問で頭がいっぱいだった俺の沈黙を、ジャッカルはどう受け取ったのか知らないがこう続けた。

「はっきり言ってさ・・・生き残れるのって一人だろ?二人で行動しても邪魔だろ。迷惑なんだ。」



そう告げるジャッカルの横顔がとても冷たかった。

先程までの真剣な横顔、そして今の氷の様な表情。

それが以前のあったかいジャッカルの笑顔とあまりにかけ離れていたから。

ジャッカルは人の悪口も言ったことがないような奴だったのに。



そんな優しかったジャッカルが告げる言葉だったから、とても重くて、俺の胸に響いた。



胸が詰まって、息をするのが苦しくなった。

涙が出そうになるのを堪えて俺はやっとのことで言った。



「前から・・・そう思ってたのか?」



喉が締め付けられて、かすれたような変な音が出た。



ジャッカルから返事は来なかった。

代わりに、ジャッカルの顎が縦に動くのが横目で見えた。
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