バ ト テ ニ
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もう何度目の放送になるのだろうか・・・・。
島中に響きわたる明るい交響曲と共に教官のだらけきった放送。
俺の目はうつろで、足は棒きれになったかのようにふらふらだ。
自慢の髪も、今では艶を失いやりたい放題に絡まりあっている。
ここ数日、ろくに食べず眠らなかった。
絶えず銃声が聞こえ悲鳴が聞こえる島で、食べたり眠ったりなんて満足にできるはずもない。
いや、まだ食べ物なら我慢ができる。だが、問題は水だ。
この島には海の水くらいしか水分になりそうなものはない。
俺たちに配布されるのはたった2リットルの水分。
政府に言わせれば『早く食べたり安心して眠りたければさっさと殺せ』ということなのだろう。
一度は我慢して海の水を飲もうとした。
けれど、海の水は赤く染まっていて、その中に肉片のようなものが浮いているのが見えたから水分の補給はあきらめた。
もう俺は衰弱しきっていた。
このままではきっと誰かに殺される前に死んでしまうだろう。
・・・・でも、それでもいいかなと思った。
宍戸が言った通り、誰かを殺して手に入れるような幸せなんて・・・。
どうせ死ぬなら、殺されるより勝手に死んだほうがいい。
そう思って俺はその場で寝転んだ。
まぶたはもう半分閉じかけだ。
あとはこの眠りが死に繋がるのを待つだけ・・・そう思った瞬間、ふいに物凄い殺気を感じた。
そして、俺の斜め前で何かが銀色に光ったと同時に俺は瞬時に右に転がった。
同時に、少し離れたところで木の葉が重なり合う音が聞こえた。
さっきまで俺が寝転がっていた場所を見ると、銀色の矢が地面に突き刺さっていた。
俺の体にそれを見た瞬間震えが走った。
もし、これが自分だったら・・・・・。