バ ト テ ニ

□03
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「くっ…そ!このやろ!」





むきになって、ごしごし、と俺は渾身の力を込めて両手を擦り合わせた。



少しずつ手の周りの水が赤茶色に染まっていく。






「よっしゃっ!」






傍から見れば異常な光景だ。



手を異常なまでに強く擦り合わせて楽しそうに笑う少年。







俺はきっと夢中になっていたんだろう。




黒い血がどんどん湖に溶け込んでいく…
その光景に見とれていたのかもしれない。









突然ガン、と頭に鈍い衝撃。





振り向く間もなく、俺の意識はまるで水の中にいるかのようにふらふらで。




俺の体は湖の中へ吸い込まれていく。







どんどん…


どんどん。







頭から出て湖に染み出した血はさっきまで必死で落としていた血と対称的にすげぇ赤かった。






「マジ……きれー。」






素直な感想を述べた。



それが最期の言葉になると知ってか知らずか。






最期に浮かんだ色は、さっきまでの血の黒さと今見ている自分の血の赤さ。







真っ赤に、真っ黒に染まっていくこの世界で。
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