バ ト テ ニ
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08.笑って、笑って、いつか笑顔で会えるように
ゲームが始まって、不安で不安で仕方なかったとき、アイツを見つけた。
ディバックを軽々担いで、まるで危機感なしに歩いている。危なっかしくてしょうがねぇ。
俺はその後姿を見た瞬間、迷わずアイツに近寄ることを決めた。
自分でも危ない行為だと思うけど、アイツは絶対ゲームに乗ったりしないやつだと思っていたから。
アイツは、馬鹿がつくくらいにお人よしで、いつも貧乏くじばっか引かされてたようなやつだけど、俺の親友で大事なパートナーだったから。
アイツの姿を見つけたとき、何故かこのゲームが怖くなくなった。
いつもの天才的な俺で居られた。
「よっ!」
明るく声をかけ、肩をたたくとアイツ・・ジャッカルはかなり驚いた。
「うわっ・・・なんだ、ブン太か。」
「何だってことはないだろぃ。せっかく声かけてやったのに。」
「お前なあ・・・普通なら殺されるぞ。」
ジャッカルはあきれて俺を見た。
こんなやりとりもいつもの光景で。
いつもと変わらないジャッカルに安心した。
「無理だろぃ?ジャッカルには。」
「はは・・どうかな。」
ジャッカルはいつもみたいに優しく笑った。
俺はジャッカルのこの笑顔が結構好きだったりする。
少し苦笑の混じったような笑顔だけど、なんかあったかくて心地よくなるから。
本人には絶対言ってやんねぇけど。
俺たちは森の中を歩いた。
こんなゲームの真っ只中だというのに、ジャッカルがいるというだけで全然怖くなかった。
いつものように他愛のない会話をした。
ほとんどずっと俺が喋ってて、ジャッカルは相槌程度か会釈を返すくらいだったけど、俺は安心しきって話していた。
ずっとジャッカルの方をろくに見ずに、ただ夢中に。
だから、ジャッカルの表情の変化にも気づけないでいた・・・・・。